バンダイナムコアミューズメントが2019年に稼働を開始した「ジョジョの奇妙な冒険 ラストサバイバー」（以下，ラスサバ）は，2024年9月4日に最新アップデートを予定している。今回はアニメ「ジョジョの奇妙な冒険 戦闘潮流」より，青年期のジョセフ・ジョースターが追加となる。

　本稿では，若きジョセフのプレイフィールに加え，正路千暁プロデューサーと我妻徹矢ディレクターのインタビューをお届けしよう。ジョセフ参戦の経緯や，現役プレイヤーが気になるバランス調整などに答えてもらった。

“ゲージ溜め”により，波紋の呼吸を表現

冷静な入力が強さにつながる新機軸のキャラクター

　ゲームジャンルを「スタンドバトルロイヤル」と銘打ち，多彩なスタンド（幽波紋）使いが参戦しているラスサバだが，新キャラクターはスタンドではなく，波紋の呼吸を駆使して戦う青年期のジョセフ・ジョースターだ。そのため，ジョセフの操作タイプは初の「波紋タイプ」に分類されている。
　なお，操作難度はジョセフのみの固有システムがあるためか，「★★☆」となっている。


●ジョセフ・ジョースターのスキル

・波紋の呼吸：L2ボタン（長押し）

　ジョセフは従来のキャラクターがスタンドON（出現）に用いるL2ボタンを使い，波紋の呼吸を行なう。
　L2ボタンを押すと画面中央に波紋ゲージが表示されるので，そのまま押し続けて特定の位置でボタンを離すと波紋が溜まっていく。波紋が最大まで溜まるとクラッカー・ブーメランの攻撃力が上昇（250→290）し，ヒット時にノックバック効果も付与される。

画面中央に半円状の波紋ゲージが表示される。右側の目盛りが大きい部分に合わせてL2ボタンを離すと，成功判定となり波紋が1段階アップ。黄色い部分で止めると大成功となり，一気に4段階溜まる

入力自体は難しくないが，波紋は時間経過により減少するため，敵と遭遇したり不測の事態が起きたりすると波紋を保つことを忘れがち。プレイヤーの冷静な呼吸（ゲージ溜め）がジョセフの強さを引き出す

・クラッカー・ブーメラン：R2ボタン（連打可能）

　連打すれば，近距離タイプのラッシュのようになるメインの攻撃手段。クラッカーが届く距離（リーチ）は「ブチャラティとポルナレフの間ぐらい」（我妻ディレクター）とのこと。
　通常時の攻撃力は250だが，波紋が最大のときは290に上昇する。さらに波紋を弱点とする吸血鬼のDIO（通常/最高にハイver.）にはダメージが上乗せされる。

波紋の溜まり具合を意識した立ち回りが必要なジョセフだが，射程が長めの近距離タイプと同じ感覚で戦える

波紋が最大になっていれば，火力も十分。攻撃をヒットさせると，相手をのけぞらせることも可能だ

・波紋ヘア・アタック：R1ボタン

　ジョセフの前方に波紋のバリアを作り出すスキルだ。バリアは敵の攻撃を防げるが，ジョセフ自身とペアを組んでいる仲間の攻撃には効果がないため，接近戦～中距離戦を有利に進められる。
　また，ダメージ量は低いものの，バリア自体に攻撃判定があり，クラッカー・ブーメランと同じく吸血鬼に対してはダメージが増加する。

敵の攻撃を防ぎつつ，味方の攻撃は通るため，遠距離タイプのパートナーがいれば離れた間合いから一方的に攻撃できる

・逃げ足：パッシブスキル

　ダメージを受けると，一定時間ダッシュ速度が上昇するパッシブスキル。波紋の呼吸が整った状態のジョセフは移動速度が高いため，スキル発動後は状況を立て直す距離を稼げるだろう。
　ホル・ホースの逃げ足と異なる点は，発動条件を満たすために必要なダメージ量だ。ホル・ホースのようにダメージを受けたら即時発動するわけではない。

元々の高い移動力とパッシブスキルのおかげで生存能力が高い

・波紋疾走（オーバードライブ）：L1ボタン/アルティメットスキル

　全身に波紋のエネルギーを巡らせて自らを強化する，ジョセフのアルティメットスキル。発動中は攻撃力，防御力，移動速度が上昇し，ジャンプの着地硬直を軽減。さらに精神力と波紋がMAXになる。
　とくに顕著に実感できるのは移動力の向上だ。ほとんどのキャラクターが追いつけないほどのダッシュ速度になるほか，Aボタンの長押しで大ジャンプが可能になる。1試合に最大3回使えるのも強みと言えるだろう。

最大3回使えるため，序盤でも発動しやすいアルティメットスキルだ

大ジャンプのおかげで，ほかのキャラクターには不可能な進行ルートも選べる

　なお，今回のアップデートではチャレンジイベント「戦闘潮流」やキャンペーンも予定されている。いずれもジョセフにちなんだアイテムが用意されているので，“ジョセフ推し”のプレイヤーは公式サイトで詳細をチェックしておこう。

ゲーム内のチャレンジイベント「戦闘潮流」では，ジョセフのカラーバリエーション（左），プロフィールカード（右），チップなどを獲得できる

キャンペーンに応募すると，アクリルスタンド（左），スマートフォン用タブ（右），アクリルキーホルダーが抽選で当たる

正路千暁プロデューサー，我妻徹矢ディレクターにインタビュー

4Gamer：
　よろしくお願いします。
　まずは，スタンド能力に目覚めていない青年期のジョセフを追加することにした経緯から教えてください。

正路氏：
　稼働当初はスタンド使い同士の戦いを楽しんでほしいと考えていたので，「スターダストクルセイダース」から参戦キャラクターを選んでいましたが，稼働から3年以上アップデートしてキャラクターが増えていったことで，スタンドバトルに関してはある程度カバーできたかなと思っています。

　さらに「キャラクターの幅を広げてみたい」と思い，波紋で戦う時期のジョセフを選びました。
　波紋戦士の中でも「なぜジョセフか」というところですが，ラスサバは正面切って戦うというよりは，搦め手も交えつつ頭を使って戦うゲーム性なので，ジョセフが最もマッチしているという判断ですね。

正路千暁氏（右），我妻徹矢氏（左）

4Gamer：
　スキルのチョイスがマニアックですよね。ヘア・アタックがバリアになっているとは想像できなかったです。実は「マシンガンで攻撃したりするのかな？」と思っていました。

我妻氏：
　マニアックと言われれば，確かにそうですね。ヘア・アタックはサンタナ戦のとき，シュトロハイムの髪の毛をむしり取って使った技ですから。ラスサバではジョセフ自身の髪を使っているということにしてください（笑）。

正路氏：
　一応，マシンガンも選択肢にはあったのですが，それだと波紋タイプではなくFPSになっちゃうので（笑）。


4Gamer：
　波紋の呼吸の仕様が面白かったです。移動中はスムーズに溜められますが，戦闘に入ると自分の呼吸が乱れて，いつの間にかゲージが少なくなっているところが，まさに原作を再現しているなと。

我妻氏：
　ジョセフを動かすのは，そんなに難しくはないんですけどね。ただ，L2ボタンの使い方が従来のキャラクターとは違うので，操作タイプは新しく「波紋タイプ」を作っています。波紋の維持を意識できるようになれば，気持ちよく戦えるキャラクターだと思います。

正路氏：
　L2ボタンの使い方は，ラスサバを長く遊んでくれているプレイヤーさんには慣れが必要かもしれませんね。

我妻氏：
　ゲージを目で追うだけでなく，効果音で判断できるといいでしょうね。


4Gamer：
　ジョセフの性能について，もう少し教えてもらえますか。

我妻氏：
　クラッカー・ブーメランが面白いと思います。波紋が最大の状態であれば近距離タイプのような攻撃力がありますし，ヒット時にノックバックする効果もほかのキャラクターにはない強みです。高い場所にいる敵にクラッカーを当てて地面に落とす……といった使い方もできますから。

4Gamer：
　ノックバックする距離や攻撃力は，波紋の溜まり具合によって変化しますか。

我妻氏：
　いいえ，クラッカー・ブーメランの性能がアップするのは，波紋が最大の状態のときだけです。ただし，ノックバックしないほうがいい状況もありますので，序盤はあえて80～90％程度に留めておくのもアリだと思います。


正路氏：
　強みというほどではないかもしれませんが，波紋による攻撃は吸血鬼相手だと与えるダメージが増えます。いまのところ，吸血鬼はDIO（通常/最高にハイVer.）だけですが。

4Gamer：
　原作再現ですね。

我妻氏：
　原作と絡めた小ネタとしては，ジョセフがコロッセオステージの地下に降りると特殊なセリフをしゃべります。コロッセオは「黄金の風」のモチーフとして作ったものですが，「戦闘潮流」で柱の男たちを見つけたのがコロッセオの地下深くだったということで，ジョセフにもちょっとしたリアクションがあります。

4Gamer：
　なるほど。
　ペア戦についても聞きたいのですが，ジョセフと組んだときにシナジーが生まれるキャラクターは誰でしょう。

我妻氏：
　どのキャラクターとも合うと思いますが，波紋ヘア・アタックのバリアを有効に使えるキャラクターと相性がいいでしょうね。バリアの後方から攻撃できる射撃系のキャラクターはオススメです。
　ジョセフはかなり足が速いので，徐倫のような機動力のあるキャラクターも相性がいいと思います。ちなみに，開発チームでは「ジョセフ&ジョセフ」のペアが最もシナジーがあるのでは，と話題になっています（笑）。


4Gamer：
　とても使いやすい新キャラクターということですね（笑）。
　アップデートでは既存のキャラクターに調整が入ると思いますが，注目のキャラクターを教えてください。

我妻氏：
　岸辺露伴とリゾットですね。
　露伴はメモリー・リーク（再起不能になったキャラクターから記憶を読み取り，パワーアップする）を使い，試合終盤に向かって強くなっていくコンセプトだったのですが，序盤がつらいということで仕様を変えています。アップデートにより攻撃力は最初から最大状態にして，精神力のみメモリー・リークで育てていく形になります。これで序盤から戦えるキャラクターになったと思います。
　一方，リゾットはペア戦で使いやすくなります。基本的にダウンしてしまうと，相手に与えたデバフ効果は切れてしまうのですが，リゾットがダウンしてもアルティメットスキルの効果が残るようにしました。捨て身でアルティメットスキルを当ててから，パートナーにとどめを刺してもらうことも可能でしょう。

正路氏：
　今回は共通システムにも手を入れていますね。

我妻氏：
　ジョセフのような攻撃力が変動するキャラクターが加わったこともあり，敵に与えたダメージの数値を表示するようにしました。ペア戦の場合，仲間が与えたダメージも見えるので連携が取りやすくなったと思います。
　また，スリップダメージは効果が切れるまで，ずっとダメージが表示されます。つまり，フーゴやアヴドゥル，リゾットのスキルを当てると，遠くからでもしばらくは敵の位置を把握できるようになります。こうしたキャラクターは強化を受けたキャラクターと言えますね。


4Gamer：
　今回，新たに「波紋タイプ」が追加されたということは，「戦闘潮流」だけでなく「ファントムブラッド」からもキャラクターの参戦を期待していいのでしょうか。個人的には，ジョセフに髪の毛をむしり取られるドイツ軍人の活躍を見てみたいのですが……。

正路氏：
　シュトロハイムは波紋タイプでもないんですけどね（笑）。今後の波紋戦士の参戦は期待してもらっていいですよ。

4Gamer：
　楽しみにしたいと思います。ありがとうございました。