gamescom 2024の会期中,スペインのRED SOUL GAMESが開発するホラーADV新作「Post Trauma」 (PC / PS5 / Xbox Series X|S)の最新ビルドをRaw Furyのビジネスブースでチェックしてきたので紹介したい。
「Post Trauma」の主人公“ローマン”は,アメリカ人と日本人のハーフでメタボ中年の鉄道職員,白髪も目立つざんばら髪という,ホラーゲームのヒーローらしからぬキャラクター像だ。突如として奇怪なクリーチャーが跋扈し,ヌメり気の多い触手が壁や天井で絡み合っている不気味なパラレルワールドに迷い込んでしまったことで,その出口を求めて彷徨うことになる。
7月下旬に京都で開催されたBitSummit DriftのPlayStationブースにプレイアブルデモ版が展示されていたので,その記事などで知った人もいるだろう。今回,RED SOUL GAMESの
Roberto Serra(ロベルト・セラ)氏 のご厚意により,gamescom 2023で公開された“病院シーン“に続く,地下鉄を放浪する序盤のシーンをプレイしてもらった。
「Post Trauma」を開発するRED SOUL GAMESのロベルト・セラ氏。「ローマンが日本人ハーフなのも小太り中年なのも,いろいろ描いていくうちにしっくりきた,単なる偶然の産物なんです」と話していた
前回のgamescomから1年ほどの開発成果は,ゲームが立ち上がってすぐに確認できた。テクスチャーがさらに描き込まれていたり,床に散乱しているゴミなどが大幅に増えていたりするし,照明効果も調整されてUnityが使い込まれているといった印象だ。さらに気になったのがカメラワークであり,「バイオハザード」の初期作品にインスパイアされた定点カメラばかりでなく,狭い通路を舐めるように回転しながらゆっくりとカメラが前進していくドリーショットや,ハンディカメラのように視点が揺れてプレイヤーに不安を与えるようなカットシーンなど,さまざまな演出が施されていることが今回明らかにされた。
「バイオハザード」だけでなく「サイレントヒル」も大好きで堪らないというセラ氏だけに,ジワジワと感じる精神的なホラーを重視しているという「Post Trauma」。それでいて今回は,“ジャンプスケア”などと呼ばれる,突然何かが写り込んでビックリしてしまうような演出を使っていることも判明したが,ゲームの序盤ではときおり表示される不気味なマネキンが絡んでいる,とここでは報告しておこう。
今回のセラ氏によるデモセッションでは,“ローマンを写し出すカメラ視点”だけではない,まだほかのメディアでも未公開という,ちょっとしたトリックを見せてもらった。その内容は,多くのプレイヤーがしばらくプレイを進めていて,よくよく考えてみると「どうなってんだ,コレ?」と思ってしまうはずのもので,こうした数々のギミックを加えることで飽きが来ないように努力しているという印象だ。
セラ氏は「鏡を見てプレイヤーが気付くことになるでしょう」とヒントをくれた。
さらに,今回リリースされたトレイラーでも描かれている,謎の女性と鉄道局の無線で連絡を取り合うシーンもあったが,当初は不気味なことを呟いているし,その声のトーンから言っても自分の命を預けるほど信用して良いのかどうかも分からない。ただ,ストーリーの本流に関わるゲームのキーキャラクターであるのは確かなようだ。
ちなみに,少し日本語のアクセントを感じる英語で会話するローマン役の声優には,1980年代にイギリスに渡って日本人では初めてのロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの劇団員になった著名な俳優の
トーゴ・イガワ氏 が起用されている。
「ラスト サムライ」(2003年)や「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」(2017年),最近では「テトリス」(2023年)など映画出演も多数だが,ゲームの声優としては「トータルウォー:ショーグン2」(2011年)でBAFTA賞にノミネートされたこともある。セラ氏も「これまでの彼の代表作とは異なるローマンという役も見事にこなしてもらって光栄です」と語っていた。
そんな「Post Trauma」は,gamescom 2024に合わせて,2024年10月29日の各プラットフォーム向けリリースも発表されている。Steamストアページでは英語のみの言語対応となっているが,BitSummit Driftで公開されていたデモは日本語化されていたように,架け橋ゲームズによるローカライズも進行中だ。日本のクラシックホラーへのオマージュと,ちょっと変わった主人公像が気になるというファンならウィッシュリストに追加するのを忘れないようにしよう。
Post Trauma I Date Reveal Trailer
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