バンダイナムコエンターテインメントは2024年8月29日に「ガンダムブレイカー4」(PC / PS5 / Switch / PS4)を発売する。
「ガンダムブレイカー4」は,「機動戦士ガンダム」シリーズのプラモデル「ガンプラ」をテーマにしたアクションゲーム「ガンダムブレイカー」シリーズの最新作で,ナンバリングタイトルとしては8年ぶりとなる続編だ。
「創壊共闘アクション」を謳うシリーズでは,ガンプラが「頭」「胴」「右腕」「左腕」「足」などのパーツに分かれており,自由に組み替えて戦うことができるのが,最大の特徴だ。
ザクの胴体にガンダムの頭を付け,足はジオングのものにする……といった破天荒な組み合わせも可能で,こうして作った“俺ガンプラ”で出撃し,敵を倒して新たなパーツを手に入れるのが楽しく,独自のプレイフィールが光るシリーズとなっている。
今回製品版を一足早くプレイする機会を得たので,序盤のインプレッションをお届けしよう。
ビルドとプレイングの両面で自由度がアップし、「ジオラマモード」で無限に時間が溶けていく
物語の舞台は
「ガンダムブレイカー3」の6年後。ガンプラでの戦いを実現する「ガンプラバトルシミュレータ」は進化を遂げ,俺ガンプラをアバターとした交流も楽しめるようになった。
主人公はこの「GUNPLA Battle Blaze:Beyond Borders」(以下,GBBBB。ジービーフォー)を始めたばかりの新米ビルダーだ。知識は人一倍だが弱気な
タオ,明るいが猪突猛進の気がある
リンと,なぜかリンにそっくりな姿とガンプラを持つ
リリンといった個性的な仲間たちとクランを結成し,成長を遂げていく。
ガンプラビルダーとしての先輩に当たるタオ。知識は豊富だが,とにかく弱気
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やる気満々すぎて猪突猛進なリン
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なぜかリンとそっくりなアバターを持ち,良く似たガンプラを操るリリン。実力は高いが,感情の起伏は薄め。果たして何者なのだろうか
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シリーズでお馴染みのミスターガンプラ
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本作の序盤はネットゲームのプレイ経験があるなら深く感情移入できるものになっている。
右も左も分からない状態から一緒に遊ぶ仲間ができ,何気ない会話の中から人柄や,リアルの悩みが見え隠れする。上級者との戦いで格の違いを思い知らされることもあるが,仲間との絆は深まり,ほかのクランメンバーとの人間関係も広がっていく。
物語の中で主人公は,GBBBBで機体をパワーアップさせる
「覚醒」という能力を習得する。覚醒はごく一部の特別なビルダーしか使えない能力であり,それゆえに上位クランからも注目を集めることになった。主人公たちのクランがどのようになっていくのか,物語の続きが気になるところだ。
そして,「ガンダムブレイカー」の魅力と言えば,俺ガンプラを組み立ててのバトルだ。筆者はこれまでにも何度か行われたテストにも参加したが,製品版は手に入るパーツがテストに比べて豊富だ。
パーツが違えばガンプラの見た目や性能,戦法も変わってくるので,いろいろなパーツを組み替えつつ試行錯誤していくのは,何度やっても面白い。
また,
今回は右腕と左腕で別々のパーツをセットでき,そこには異なる近接武器と遠距離武器を持たせられる。アシンメトリー(非対称)な見た目の面白さは,それこそ1979年に放映された「機動戦士ガンダム」のザクでも提示されていたが,本作における進化は,俺ガンプラ作りにおける可能性を大きく広げている。
異なる遠距離武器を2つ持てるため,装弾数の多いマシンガンと一撃が大きいロングライフルという正反対の武器を組み合わせるなど,ゲームプレイにも大きく影響を及ぼす。
近接武器については,両手持ちによりアクションの幅がかなり広がる。例えば,ムチで敵を引き寄せたところをアックスの溜め斬りで仕留めたり,一対一に強いランスと広範囲に攻撃できるサーベルを使い分けたりするといったプレイが可能だ。また,火力の高い大剣や手数の多い格闘/拳法といった両手持ち不可の武器種もあり,ビルドの面でも考えることが増えている。
さらに本作には「パーツアウト」という攻撃を当てると腕や頭といったパーツが吹っ飛んでいくという新要素があり,武器種によってはパーツアウトを狙いやすいものがある。パーツアウトを重視するか,撃破を優先するかはプレイヤーごとの考え方やセッティング次第だ。
パーツを組み合わせて機体を作ると聞くと,デザインセンスや美意識が必要で,ハードルの高い行為に感じられるかもしれない。
しかし,本作ではまったくそんなことはなく,むしろその逆だ。どんな組み合わせでもそれなりにカッコ良くなるし,新しく手に入れたパーツをアバウトに組み合わせたはずが,思ってもみなかったような統一性が出ることも少なくない。こうした組み合わせを見つけた時の嬉しさは格別だし,思い入れも深まる。
また本作では,機体の彩色テンプレートである「プリセットカラー」が手に入り,ボタン1つで俺ガンプラに適用可能だ。プリセットカラーは実装機体の数だけ用意されているようで,多彩なカラーリングを手軽に楽しめるのが嬉しい。
組み立てた俺ガンプラの魅力をさらに引き出せるのが,今回の新要素
「ジオラマモード」だ。ジオラマは,背景にプラモデルを配置して情景を作り出すという遊びだ。
現実ではプラモデルだけでなく背景も制作しなければならないため,ジオラマ作りは相当大変だ。ガンプラやプラモデル作りにハマり,ジオラマ作りに憧れるも,その大変さから挫折した……なんて思い出を持つ人も多いはず。
しかし,本作ではあらかじめ用意された「密林」「廃墟」などの背景に俺ガンプラやジオラマ用のガンプラを配置するだけで,ジオラマが完成するのである。
ジオラマに配置するガンプラは大きさを自由に設定できる。手前のゴッドガンダムは大きく,奥のマスターガンダムを小さくして遠近感を表現
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本作のジオラマ作りは,単に完成させるだけなら簡単だが,凝り始めるとかなり深く遊べるという印象だ。俺ガンプラやジオラマ用のガンプラは,位置や大きさ,ポーズを設定できる。2体を配置して対決シーン,もっと沢山の機体で集団戦を演出することも可能だ。
ガンプラのポーズは,プレイ中のモーションからコマ単位で指定できる
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ガンプラの固定や強度を考えなくていいため,自由度が非常に高いのもゲームならではの強みだ。また,ビームや爆発といったエフェクトや,岩に樹木などのパーツや自由に配置できるし,背景や機体に弾痕や傷といったテクスチャを被せたりもできる。工夫次第でさまざまな演出が可能なので,凝ると無限に時間が溶けていく。
ダメージモーションや攻撃モーション,倒れ伏すエモートのポーズにエフェクトパーツを使えば,ドラマチックな情景を作り出せる。手前のジムには弾痕があるが,こちらはテクスチャを被せたもの。リアルガンプラだと不可逆のダメージ加工をしなければならないが,本作ではテクスチャを外すだけで元に戻る。写真で使っているのは,いずれもショップで売られているジオラマ用のガンプラだ
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ラストシューティング風のジオラマを作っている最中の一コマ。ガンプラはパーツごとに表示/非表示を切り替えられるため,ガンダムの頭部と左腕を非表示にした。そのままではパーツを接続するガンプラっぽい突起が丸出しになっている
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突起を隠したいのであれば,「汎用:部位破壊」という,メカがダメージを受けた断面を表現するパーツを被せればいい。ファンのツボとニーズを抑えたパーツが用意されている
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ジオラマを作りながら突然構想が湧いてきて,「あのガンプラを追加したい!」なんて衝動買いもゲームなら簡単だ。ショップへ行くのも品物が届くのも一瞬だし,GP(ゲーム内マネー)でガンプラやパーツを1つ買えば,ジオラマで何個でも使えてしまうのはゲームの良さといえるだろう。
手前はジオラマ用のガンダム・エアリアル,奥は俺ガンプラ。夢の対決だ
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ちなみにジオラマに配置できる物体にはすべて「コスト」が定められており,さまざまなパーツを組み合わせた俺ガンプラや複雑な背景だとコストがかさみ,いわゆる“素組み”に近いジオラマ用のガンプラやシンプルな背景は低い。
コストの上限は高く,そうそう限界に達することはないと思うが,状況によっては節約を考えなければならないかもしれない。
ゲームを進めれば,ショップにジオラマモード専用のガンプラが売られる。ビルドには使えないが,安価で買え,1つ手に入れればいくらでも複製できる
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ジオラマが完成したら,お楽しみの撮影タイムだ。用意されたフレームの中には「ガンプラのパッケージ風フォトフレーム」なんてものもあり,俺ガンプラがキット化された気分に浸れる。
中央のエフェクトには光源を仕込んで迫力を演出
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「ガンプラのパッケージ風フォトフレーム」で撮影。機体名などの箱に書かれた文は自由に変更できる。画面中央の俺ガンプラを目立たせる「メインガンプラ指定」という指定もあり,簡単にガンプラパッケージ風の写真が撮れる
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写真は「プロフィールカード」のオンラインギャラリーに載せるることが可能で,ほかのユーザーから評価してもらえる。発売前なので,この辺りは体験できなかったが,評価されるとモチベーションも大きくアップしそうだ。
俺ガンプラのビルドはゲーム内での使い勝手や戦法,単体での見た目を主に考えていくものだが,ジオラマ作りはドラマチックな情景作りや複数体を組み合わせての演出センスが必要だろう。それでもハマる人はとことんハマれそうだ。
8年ぶりのナンバリング新作でありつつも,ビルドやプレイング,そしてジオラマモードで新たな楽しさが加わった「ガンダムブレイカー4」。近年のゲームではスクリーンショットやカラーリングなどのセンスを発揮できる機会も多いが,そうした面白さを先取りしていたシリーズだけに,発売後の盛り上がりも楽しみに感じられた。